香港に帰ってきた。なんだかほっとした。子供たちやマイケルと離れているとなんだかそわそわするから、この2週間、落ち着かなかった。母の退院後の生活とリハビリのサポートやこれからのことを考えつつ、ゲラの締め切りなどもあったので、頭と心があっちこっちにいって難しかった。マイケルの看病ばかりしていた東京やエドモントンでの日々を思い出した。なんだかここ数年、姉のお産看病もしたし、子供たちも含め、周りの人のお世話をすることが多かったなあ。いろいろなところに暮らしつつ、それができるというのもけっこうありがたいなと思う。今回だって、もしカナダに住んでいたら駆け付けられなかったし。でも疲れたあ。
昨日の夜帰ってきて、今朝、ゲラを送った。なんとか締め切りに間に合った。それから次のゲラを受け取った。600頁くらいある。しかも2年前に訳了していた作品だから、絶対に修正箇所が多いはず。かなり作業量は多くなるけれど、大好きな登場人物たちとの再会は楽しみ。現実での同窓会は大嫌いで一度も行ったことがないけれど、きっと同窓会を楽しみにしている人はこんな気持ちなのかな。大好きなあの人にまた会える、って感じなのかな。わたしはあんまり、ふるさとにいい思い出がない。
いろいろと確認作業をしたあと、レジュメをふたつ仕上げる。絵本のレジュメで、編集さんに先月持ち込んだのだけど、とてもいい作品とのことで、レジュメ+全訳もつけて提出する。この作品は、中華圏の文化がテーマの絵本だ。やっぱりわたしにとっての翻訳は、自分の身の周り、生活とぴったりくっついているので、持ち込む作品のテーマなどもけっこう変わってきている。わたしの「出版翻訳フルタイム」生活はラストスパートなので、ここでできることは悔いのないように取り組みたい。ひと段落着いたら、ZINE「マギーパイ」にも着手したい。今度は福岡の文フリ行きたいんだよね。
佐賀にいる2週間、本も読んだ。多分10冊くらい。とてもいい本との出会いに恵まれた。わたしは屋外読書が好きなので、近所の神社のベンチに座って何時間も読んだ。そのなかで数冊紹介したいので、また近く更新したい。
今日はレジュメを仕上げたら、夕方から大学での講義に顔を出す。韓国についての講義だ。「フルタイムでは翻訳をしない」と決めてからけっこういろいろ悩むことも多かったんだけど、今、上の子が9歳。あの子が20歳のとき、わたしはどんな感じでいたいかなあと想像すると、悩みというよりももっと具体的な謎解きみたいに感じられて、足が動く。だって、きっとあっという間に過ぎてしまう。ゆっくりしてても、あくせくしてても、きっとあっという間。
今読んでいる小説の登場人物ポーキーが、「時間は過ぎていかない。時間は物質みたいに摂取するんだ。空気みたいに、水みたいに、わたしたちは時間も摂取しているんだ」って言うんだけれど、それなら「いい空気」や「いい水」みたいに「いい時間」を摂取するようにできるのかなって聞いてみたい。いい小説を読むと、登場人物と話がしたくてたまらなくなる。今読んでいるのはちなみにルイーズ・アードリック著『The Night Watchman』(未邦訳)。これもすごくいいので、読み終わったらレビュー書く。
週末は子供たちとマイケルとたくさんあそびたいなあ。