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学びに「罰」はいらない

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学びに「罰」はいらない

shaming kids has no place in education

Ikumi Yoshida
Jan 22
8
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学びに「罰」はいらない

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おはようございます! 

雪の森から見上げた空の写真。枝にリボンのように雪がかかっている。

突然ですが、平日のわたしの楽しみは、ランチです。

日本にいたときもそうだったのだけど、在宅フリーランスの良いところはお昼ご飯を作って食べれるところだと思います。最近のお気に入りは、ケールの炒め物。熱したオリーブ油にニンニクで香りをつけ、ケールを炒め塩コショウするだけ。トーストしたドイツパンにオールドチェダーチーズをのせて、その上に熱々のケールをよそいます。リンゴか洋ナシをスライスして、グラス一杯の水を用意。リビングに運んでいただきます、です。

学校が始まった!

ランチと言えば、子供たちの学校が始まって1週間が経ちました。こちらの学校は始業式がないところが多く、すごくカジュアルです。登校日初日、あいさつにいったけれど担任の先生も校長先生もすごく優しく明るく、安心しました。東京では小学校に通うのが嫌でたまらなかった7才児が「学校が楽しい」と言って毎朝起きてくるのを見ると心底うれしいです。

大きな違いは、「恥」や「罰」を教育に取り入れていないことだと思います。東京で通学していた学校では、「〇〇ができないと困ります」「できないので居残りです」「帰りの支度が遅いので、罰として残させました」などの声掛けを聞きました。人それぞれ考え方はあると思いますが、わたしは「できない」に焦点を当てて人前で恥をかかせたり、罰を与えることに教育的価値はないと思っています。

一方、先週から7才児が通っている学校では、「テストは行いますが、前向きな声掛けをするための指標です」と注意書きがあります。宿題はドリル形式ではなく、毎日2冊の本を持ち帰り、家の人に読み聞かせるという内容です。自分で読みたい本を選ぶので、「宿題」というよりも「遊び」感覚で学習するようです。東京で通っていた小学校と学ぶ内容や量は同程度ですが、「嫌だ」という気持ちが先行しないので、一緒に取り組むわたしもかなり楽になりました。

見た目で判断しない

東京の学校では、いわゆる白人とアジア人との「ハーフ」に見える容姿について尋ねられることが多々ありました。先生からの言葉が、見た目のことに終始することもありました。とても居心地が悪くなるし、数カ月過ごした後でも見た目のことだけを話されると、この子のことをちゃんと見てくれているのだろうかと不安になりました。

だから今度の学校を始めるときも正直、不安がありました。アジア人の見た目で何か言われるのではないかと思ったからです。先手を打って、担任の先生に「先月日本から引っ越してきました」と伝えました。「うわあ、楽しいですね」という言葉が返ってきました。そして、「ここには様々な言語話者がいますが、それはお互いの学びにとってとてもいいことです」と続きました。気づけばその学校のどのスタッフと話しても「日本人なのですね」という声掛けはされていません。「日本語話者」という言葉が使われている印象を受けます。それは、見た目で「アジア人」もしくは「日本人」のように見えても、その人の国籍は分からないし、それを言うこと/尋ねることで政治的に微妙な立場を強制されている先住民や難民、書類のない移民の人たちは冷や汗をかく、緊張状態に置かれかねない、という配慮からで、アンチレイシズムの学校としての取り組みとして徹底されているようです。

学校がはじまって1週間。もちろん言葉で困ることもあるようで、単語テストは白紙のまま出したそうです。だけど子供が叱られたこと、辱められたこと、罰せられたことは今のところないし、友達がそのような扱いを受けているところも見たことがないそうです。雪ぞりを片手に楽しそうに学校に入っていく子供たちの姿に、毎朝心が温かくなります。

給食はどう?

ここでランチの話に戻ります。7歳児はランチを持っていかなければなりません。サンドイッチを持たせたのですが、もっと「スナック」を持たせてほしいと言われました。1時間目の授業のあとに、みんなでおやつ(スナック)を食べる時間があるそうです。

 おやつといっても、野菜スティックやフルーツ、クラッカーなどの「健康的なおやつ」、こちらでは「healthy snack」と呼ぶものです。朝の時間、昼食の後などに食べるそうです。「空腹の状態では良い学びはできない」という方針のもと、水を飲むこと食べることが推奨されます。

 3歳児の保育園では、温かいランチが出ます。ここで面白いのが、保育園にはランチとは別に、自分が食べたいときに食べられるスナックと水、牛乳が用意してあります。「食べ過ぎないの?」と思うかもしれませんが、子供たちはけっこう節度を守って食べることができます。食べたいもの、食べたくないものを子供たちが選び、大人が無理に食べさせない、というのもわたしの子育ての価値観と合っていて、概してストレスを感じずに子供たちを預けています。

 東京の学校ではクジラの肉を無理に食べさせられたため、7才児が泣いて帰ってきたことがありました。(クジラ大好きだから)

マイケルの手術がうまくいけば夏にはお別れしなければならない学校ですが、子供たちの教育のためにはここに残ったほうがいいのかなあという気持ちもあります。

何はともあれ、子供たちのスポンジのような吸収力と柔軟な態度、受け入れる側の優しさとスタッフ全体に行き届いているアンチレイシズムに根差した対応に、ひとまず胸をなでおろしたところです。

白い鳥

そういえば今朝、保育園に3歳児と歩いていると白い鳥が飛んできました。マグパイです。マグパイ(カササギ)は黒い体に白い斑がある鳥ですが、この子は真っ白! 気になって調べてみると、「ゴーストマグパイ」と俗に呼ばれるマグパイの白変種。ここでも珍しいそうです。このCBCの記事で写真が見れます。この記事によると白いマグパイはいじめられたり、特にオスの場合は繁殖相手に嫌われることも珍しくないそうです。1940年代から目撃情報があるそうです。

新しいことに出会うたびに、今、ここに生きているって奇跡だなあとしみじみ感じる今日この頃です。

ということで、長くなりましたが読んでいただきありがとうございました!

Have a nice week!

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