おはようございます! 筋肉痛と時差ボケに苦しんでいる育未です。先週の土曜日、義父のパートナーのアナに軽くワークアウトをしようと誘われ、やってみたらめちゃめちゃきつかった……
翻訳をしていると、ずっと座りっぱなしでほんとうに意識しないと運動不足がディフォルト設定になります。医師のアナは、忙しいスケジュールの合間を縫って、必ず運動しています。仕事のための体力づくりなのかと思ったら、トライアスロン挑戦のためなんだって!!オンラインでインストラクターの指導を受けながら、筋トレを週3回。月曜日朝6時、水曜日夕方6時、土曜日朝8時半です。
けっこう辛い筋トレセッションのあとすぐに、アナが「サルマーレ(Sarmale)教室」の準備をしだしました。サルマーレは、ルーマニア風ロールキャベツ。わたしはロールキャベツ大好物なので、お手伝いすることに。用意したのは、玉ねぎ、豚のひき肉、牛のひき肉、お米、ベーコン、ロールキャベツスパイスミックス(ルーマニアのものでしたが、中身はコンソメパウダーにタイム、ディル、コリアンダーなどのハーブがたくさん)、ディル(たっぷり)、乾燥タイム、塩、コショウ、トマトソース、サワークラウト(キャベツのお漬物。瓶入りではなく、丸ごと使用)。サワークラウトがない場合、キャベツの葉を一枚一枚、熱湯につけて柔らかくして包みます。
日本のロールキャベツとの違いは、まずタネを炒めることです。玉ねぎをよく炒めてから、ひき肉、お米、塩コショウ、スパイス、ハーブを入れて、炒めます。すべてに火が通ったら(米は硬くてok)、キャベツの葉を取り少量のタネを包んで(包み方は日本のといっしょ)、お鍋に重ねます。ベーコンはここでお鍋にいれます。あまったディルもいれる。それからトマトソースを入れて(250ミリくらい)、お鍋ごとオーブンに。
180度くらいで2時間温めたら、できあがり。すぐに食べてもおいしいけれど、一晩寝かせたほうがおいしいらしい。わたしは我慢できずにすぐにぱくり。
ディルの香りが広がって、とてもおいしかった。
お料理教室に来てくれたのは、政治家ケヴィンとコミュニティーオーガナイザーのジャネットさん。みんなで手を動かしながら、アナのルーマニアでの話になりました。彼女が19歳のとき、「ルーマニア革命」が起こりました(1989年)。その革命が起きた時、アナは独裁から民主化への変化を掲げる新しい政府が良い政治を行ってくれると楽観的だったそうです。しかし、革命の混乱に乗じて革命派から銃口を向けられ、「何を標ぼうしようとも、権力の掌握を目的とする団体からはほんとうの民主主義は生まれない」と悟ったと言います。自分の理想とする生き方を模索しルーマニアを出て、カナダにたどり着いたアナ。母が作ってくれた「サルマーレ」をふるまったり、料理教室をすることで、たくさんの人と出会うきっかけにしてきたといいます。
「ルーマニア人であることは、わたしにとってまったく重要ではない。人間として、ひとつの食べ物を食べ、おいしいという瞬間、それを積み上げていくことのほうが、わたしにはずっと大切」
ケヴィンさんとジャネットさんと話しているうちに、ケヴィンさんが出版社にコネクションを持っていることがわかり、紹介していただけることになりました。黙々と作業しながらわたしに雑談するように促してくれたアナを見て、もしかしたら彼女は「サルマーレ」をわたしのために使ってくれたのかもしれないと思いました。わたしが、新しいつながりを築いていけるように。
生まれた国も世代も、育った場所も話す言葉も、まったく同じじゃないけれど、何かを求めてカナダに来たという点で、アナとわたしには共通点があります。今まであまりよくわからなかった彼女の輪郭が、少しだけ濃くなったような、そんな土曜日でした。
まだまだ書きたいことがありますが、続きはまた来週。
今週も読んでいただいてありがとうございました。
Have a good week!