ジョン・フォッセやリルケの翻訳を手掛けるダミオン・サールズの『The Philosophy of Translation』を読んでいる。その話を書くつもりだったのでけれど、ガザ最後の「機能している」病院がイスラエル軍に攻撃され、ずっと状況を発信していた医師の言葉も途絶えた。
ジャーナリストたちのレポートの報道を追いかけ、せめて病院への攻撃をやめてほしいとずっと祈っていたけれど、あの医師の安否がわからない。ジャーナリストのホッサム・シャベットさんが3時間前に「Kamal Adwan 病院からの連絡が途絶えた」と投稿してから、他のジャーナリストたちが病院のスタッフと医師、患者が全員外に出されたというような投稿を繰り返しているけれど、シャベットさんの更新も途絶えたまま。
シャベットさんの投稿を一日分、訳します。
27日
「Al-Shafa病院が、KamalAdwan病院で繰り返されている」3・23PM
「イスラエルの占領軍がガザに残る最後の病院KamalAdwan病院を攻撃し、5人の医療スタッフを殺害後、すべてのスタッフに投降するよう命じた」1・43PM
「1年間ずっと爆撃され続けていたら、爆発音に慣れると思いますよね。でも、この2日間は北部で鳴りやまない激しい爆音に、目が覚めます。地震みたいだ」9・01AM
26日
「Kamal Adwan病院で5人の医療スタッフが殉死」2・29AM
「目覚めたら、同僚ジャーナリスト5名が標的にされ殺されたと知らされました。休みもせず必死にずっと虐殺の状況を伝え続けてきた仲間たちです。その努力は絶対に評価されるべきですが、欧米メディアは未だにイスラエルがガザにおいて組織ぐるみでジャーナリストを殺していることを伝えません。もう201人のジャーナリストが殺されました。それなのに欧米メディアは沈黙を守る、もしくは共犯者として口をつぐんでいるようです。今、ガザでジャーナリストたちが組織的に殺されていることに対し、声を上げないジャーナリストは恥を知るべきだ。お前たちみんな、恥を知れ」1・56AM
「わたしたちは疲れてなどいない。報道することを、決してやめない」12・12AM
「Kamal Adwan病院のホッサム・アブ・サフィア医師が、病院内部の医師たちが爆弾を積んだロボットにより標的にされていることについて話をしています(投稿にはビデオがある)。イスラエル軍が送り込んだロボットです。医師たちの状況は深刻であり、生存可能性は低いと彼は述べています。毎日、病院付近で十数台の爆弾ロボットによる攻撃を受けているそうです」6・55PM
「今度は誰の番だろうね、と言うようになりました。まるでわたしたちが埋葬用の白い布を巻いて歩いているような目で、みんなに見られるんですよ」3・18PM
「イメージ対ニュースの伝達。魂がかかっているんですよ」3・15PM
※アラビア語からの重訳で自信がない。英語訳はimage vs news transfer You are putting your soul on line
「みなさん、アイマンがどんな罪をおかしましたか? ジャーナリストがいったい何をした? わたしたちが何をしたんですか?」3・09PM
「だれもわたしたちのことは尋ねません。次々に死ぬことが、わたしたちの仕事のようですね……真実を伝える。そしてその真実の最初の犠牲者になるのが仕事のようです」2・54PM
これが、彼の一日です。(彼のXのアカウントはここから)
これを訳しているとき、新しい投稿が動画付きでありました。動画には、イスラエル軍に病院を追われ、一列で歩かされる医療スタッフ、患者たちの姿がうつっています。ほとんど着衣がない状態の人もいます。
そしてあの医師は、患者を離れるわけにいかないと病院を出ることを拒否した罪で、逮捕されました。
わたしたちは、どうして、止めることができないのでしょうか。
わたしたちはどうして、止めることができないのでしょうか。
どうして。