おはようございます! これを書いている日は、なんと6℃でした!!! 歩いていると、雪かきをしているおじちゃんがいて、「こんにちは! 雪がとけたら川になりますね!」とあいさつしたら、「湖になるでー!」って言われました。
やさしいひとたち
ここは雪がやばいし寒さもきびしいですが、とにかく人がやさしい。ほんっとにびっくりするくらい親切な人が多いです。道端に落ちているゴミを、誰も見ていないのに拾う人が多いです。横断歩道がないところで車がぜったいに止まってくれます。そして手をふってくれる!
はしるひとたち
そしてここの人はよく走ります。雪の日も、氷の日も、みんなすごい走る。あたしもここに長く住んだら氷の上も滑らずに走れるんだろうかと思っていたら、なんと、氷の上も走れるランニングシューズがあるではないですか!!! セールになっていたので、購入しさっそく走りに行きました。
みなさん、外を走るって、当たり前のことじゃないんですよ!! 凍ってたら走れない!!! そして外を走るという、いつもは何ともない(どちらかというと面倒くさい動作が)すごい喜びに満ち溢れて、もうずっとお日様の下、わたしは走っていたい!!! と思いました。お日様ありがとう。お日様、ありがとう。最近のわたしの合言葉です。お日様ありがとう!!!
シンクロするわたし
でもふと、わたし、走るの嫌いなのになんでこんなにランニングとかしたいんだろう?と思いました。わたしは運動は苦手じゃないけど、あんまり長距離走るのはすきじゃなくて(粘り強くない)、こんなルンルン走ってるのはなんでだろうと考えてみたら、今訳している物語の主人公がめちゃめちゃ走る人じゃないですか!!! すっごい走るんです。しかも朝、起きてすぐ走るんです。それです。わたしの翻訳シンクロライフです。つねに訳している物語の主人公とシンクロしてしまいます。
『星のせいにして』を訳してたときはとにかくビスケットと紅茶がお供だったし、『痩せる脂肪』を訳してた時はあすけん先生を頼りに食生活改善と毎日3キロラン(訳している間に10キロ近く痩せる)、『ブランドストーリーのつくりかた』を訳していた時は1日おきにTwitterのプロフィール文作成とツイートに励みました。
今度出る『TIME OFF 戦略的休息術』を訳しているときは、タイムオフとりたすぎてぜんっぜん翻訳が進まない。
『聖なる証』を訳しているときは食欲がまじでなくなる……(書店員さまのゲラ読みがはじまっているようです。まだ反映できていない修正もありますが、楽しんでいただけますように!)。そして今訳しているの長編は(タイトルがまだ言えないんだけど)、朝、走りたくなる! 太陽がありがたくなる! そんなお話です。その次に訳入りする物語を訳すときはきっと、カクテルが飲みたくなり、もしその次のやつの企画が通れば、わたしはどうなってしまうのだろう……?
最新シンクロ作
さて、最近の訳文でいちばん早く読んでいただける作品が、先週ご紹介したクィアSFアンソロジー「結晶するプリズム」のために翻訳した「ANDWÀNIKÀDJIGAN」です。クラウドファンディングで資金集めがはじまっていますので、ぜひ、参加していただけたらと思います(開始から3日で30パーセントに達したそうです! すでにご支援いただいた方、ありがとうございます)。
この物語はあまりシンクロしなかった、すごく珍しい作品です。共感しないわけでなく、かなり意識して距離をとりながら翻訳しました。ミクマク族とアニシナベ族の世界観の物語が英語で書かれているわけなので、こんなに英語の辞書の定義が頼りにならないテキストもないのです。最初はいつも通り訳したんですが、できあがった訳文がなんかちゃんと原文を伝え切れていない。家父長制的な臭いがする作品に読める訳文ができたんです。なぜだろう、と考えていくと、「西洋的な価値観」から離れたところにある価値観で書かかれた物語なのに、「英語」と著者との関係や余白がちゃんと訳出できていないことに気づきました。
著者とゆっくり会話しながら、そして今まで学んできたことを思い出しながら、丁寧に訳語をゼロから考えていきました。
もうひとつすごく悩んだのが、人称代名詞のTheyです。ジェンダークィア、ノンバイナリー、ツースピリットの人たちの代名詞として使用されますが、これをどう訳出したらいいでしょうか? 既訳に「彼人」というのがあります。はじめはこれを使おうと考えていました。でも、「彼(he)、彼女(she)、彼人(they)」と並べたときに強烈な違和感がありました。本来なら、「彼男(he)、彼女(she)、彼(they)」にすべきではないでしょうか。彼と彼女、彼人としてしまうと、男性中心的な言語表現やバイナリーな価値観を強化しかねないか、ジェンダークィアの現実に果たしてあっているのか、いろいろ考えました。アンソロジーの関係者にも相談して、いろいろなインプットをいただきました。わたしがどんな決断をしたか、本編で確認していただけるとうれしいです。
その足はどこへいく?
わたしは実験的な取り組みが大好きです。慣習にとらわれたり、他の人の評価を気にしすぎて足踏みするよりも、どこか好きなところにいきたいなあと思います。勇気はいるし、ちょっと孤独でもあるけれど、行った先でもし、一緒に歩いてくれる人がいたらすごくすてきだし、一緒にこっちに行こうよって誘ってもらうのもすごくありがたい。こういう取り組みによって、さまざまな物語が、さまざまな視点からの「現実」が、さまざまな世界への入り口が、多くの人に届けられたらいいですよね。
少し話がそれましたが、今週も読んでいただいてありがとうございました!
Have a good week!